『ゴッド・ガン』を読んだ
バリントン・J・ベイリーの日本オリジナル短編集、『ゴッド・ガン』を読んだ。
あっというまに読めるのにすごく遠くまで連れていってくれる10篇。表題作「ゴッド・ガン」は無神論者が神の実在を確信し、神に干渉する方法を発見・実行する物語。そのほかも素晴らしい。
極限まで大きな音が存在したら、というアイディアそのままの物語「大きな音」。独特の道具立てから地底探検というテーマに切り込んで思わぬ結末へと誘う「地底潜艦〈インタースティス〉」。 落ちこぼれた荒くれ男二人(ただし一人は物理学者)が、宇宙の僻地で異なる宇宙の存在との邂逅する「空間の海に帆をかける船」。時間旅行と運命に関する重苦しい物語「死の船」。 気位が高く鼻持ちならぬエルフと人間の関係を描く正統なファンタジー「災厄の船」。性こそが人間の本質とするマッドとは言い切れないサイエンティスト「ロモー博士の島」。 あまりにも異質な知性との不幸な、いや不幸ではないのかもしれないコンタクト「ブレイン・レース」。ボンクラ青春モノただし登場人物は全て蟹の「蟹は試してみなきゃいけない」。邪悪と不死にまつわる、短いけれどもとても長い物語「邪悪の種子」。