これまで何百年かは、本といえば紙を束ねたものでした。電子書籍はその制約を軽やかに取り去ってしまいます。
これまでは何かが本なのか本じゃないのか見分けるのは簡単でしたが(というよりは、見分ける必要がなかった)、これからはそうではなくなってくるでしょう。
電子書籍の実例を少しみてみましょう。
紙の書籍をデジタルデータでも販売しているケース。これは議論の余地なく電子書籍ですよね。Kindle向けに売られている本が、その典型です。本をスキャンして自前でつくったPDFも、電子書籍といってもよいでしょう。これらは、いちばん保守的な「電子化された」書籍です。
これはどうでしょうか。

Sports Illustrated誌のデモです。作っている側は雑誌と主張するでしょう。わたしにも雑誌に見えます。でも、ほんとに?
あるいはこんなものはいかがでしょう。

iPhoneと絵本を組み合わせたPhonebook。楽しそう。これは書籍に見えますか? 絵本の一種にみえますよね。でも途中にはさまるこれは、ゲームかなあ... と考えると悩ましい。
Phonebookから紙書籍部分を取り去ると、たとえばこんな風になるでしょう。

これは本? ゲーム? そもそもそんな区別は無意味?
「電子書籍は、デジタルならではの表現を手に入れてからが本番だ」といわれます。でもそれをつきつめていくと、ちょっと待てよこれはそもそも書籍なのか? という疑問がでてくるはずです。逆にアプリケーションやゲームの使い勝手を追求したら、電子書籍に近づいていくこともあるでしょう。
しばらくの間は、電子書籍とアプリケーションとの境界は揺れ動くでしょう。そして5年もすれば、電子書籍とは何なのかが再定義されているでしょう。
その再定義に、能動的に参加していきたい所存です。おー!