『Joel on Software』

ビジネスとしてのソフトウェア開発に関する問題がユーモアにあふれた平易な文章で、しかし舌鋒鋭く語られた本です。すべてのソフトウェア技術者におすすめです。巷に溢れるソフトウェア開発方法論の本をいっぱい読んで目が回ってふわふわ浮き上がってるひと(それは私だ)には特におすすめです。地に足がつきますよ。

帯に「マネジメントの世界へようこそ」と書いてありますが、別にマネジメントに特化している本ではありません。もちろんマネジメントの話もあるんですが、帯での強調の仕方はちょっと適切さを書いているかなという気もしたり。

たとえば「漏れのある抽象化」という考え方はマネジメントが知っていればいいことではなく、すべてのプログラマが意識している必要があることでしょう。

この本で印象に残った主張を列挙。

  • 顧客をチームに取り込むなんてムリだ
  • オープンソースソフトウェアのやり方では上手にソフトウェアをデザインできない
  • 報奨金は有害
  • 抽象化された環境での開発は却って必要な知識量が増える
  • 誰にでもできる「プラクティス」にはたいした効果はない
  • 車輪を再発明せよ(それが必要なら)
  • 80/20の法則なんてクソだ

えええ、っておもった方は読んでみてください:)

『Write Great Code Vol.1 ハードウェアを知り、ソフトウェアを書く』

あちこちに「グレートプログラマーは」とか「グレートソフトウェアは」なんて言葉が普通に出てくるのが楽しいです:) 翻訳もこなれていてよいです。

こういう低レベル(機械に近いレベルって意味ですよ)の話は久し振りに読んだので楽しくよめました。よくまとまっていると思います。

でも対象読者って誰なんだろう? というのをちょっと疑問に思いました。当たり前のことしか書いてない印象です。このレベルを知らないプログラマがいたら、このレベルを知る必要があるとは思います。しかしそういうプログラマはこの本読む意義が分からないんじゃないかな、『こんなことしらなくったってプログラムはかけるよ!』って。

Vol.4まであって、だんだん上の層にあがっていくみたいです。続きも楽しみです。