SFっぽい本2冊
最近、SFに関連したテーマだけど、明らかにSFじゃない本を2冊よみましたのでご紹介。
七回死んだ男(西澤保彦)
主人公の大庭久太郎は、ときどき「時間の反復落とし穴」に陥る特異体質。いったん「反復落とし穴」にはまると、同じ日が9回くりかえされ、そして最後の一日が「決定版」になります。ここまでがSF的設定。
そしてある新年。反復落とし穴の中で、大庭久太郎の祖父が殺されます。久太郎は、祖父の死を回避するために、反復される時間のなかで孤軍奮闘...。というのが骨格。
著者自身があとがきで書いているように、SFの道具立てはつかっているけど、これは断じてSFじゃありません。バリバリの、オーソドックスといってもいいような本格ミステリです。
西澤保彦の本ははじめてよみましたが、こういうのが多いらしいです。もうちょい読んでみよう。
タイム屋文庫(朝倉かすみ)
なくなった祖母の家で、初恋の相手をまつために、彼が好きだったタイムトラベルがテーマのSFのみを集めた貸し本屋をはじめる柊子のものがたり
って甘いにもほどがあるだろうこのやろうという設定ですが、中身は甘さ控えめです。おとぎばなしのような設定なのに、しっかり地に足がついた「リアル」な枠組みをもっていて、バランスがよいんだよなあ。ぜんぜん説明になってませんね、すみません。
そうそう、この本、装丁がたいへんよいです。写真でもかわいいでしょう。帯はないほうがよりよいので、店頭でみかけたらこっそり帯をはずして眺めてみてください。