星を継ぐものSFとは何であって、ほかの小説とはどう違うのか。私には定義はわかりませんし、定義があるのかどうかもわかりません。
と思ってるんですが、定義がわからないながらに、わたしが「SF的」と感じる小説は確かにあるようです。その特徴のひとつに、わくわくする謎を提示してくれたり、ありきたりの謎におどろくべき真相を提供してくれたり、というのがあります。これだけだとある種のミステリと一緒なんですが、ミステリ的ではないSF的な謎なんですね。ってSFを定義するのにSF的って言葉つかっちゃ駄目なんですけど。
リングワールドの子供たち―ノウンスペース・シリーズ
たとえば『星を継ぐもの』(J.P.ホーガン)の導入部では月面で宇宙服を着た死体が発見されます。しかしそれはなんと、5万年前の死体なのです。
どうです、わくわくしませんか? わたしはわくわくします。わたしにとっては、これがSF的なわくわくです。
最近4作目が出た『リングワールド』(ラリイ・ニーブン)のシリーズもわくわくします。とある恒星の、地球軌道のあたりをめぐるリング。明らかな人工物で、恒星を向いた面が居住可能な世界になっています。その面積はなんと地球の300万倍。だれが、なんのために、こんな世界を作ったのか? この4作目でようやく一区切りついた感じがしますよ。
さよならダイノサウルスロバート・J・ソウヤーの作品はあと一歩で冗談になるくらいの大風呂敷な謎や解決が多いのですが、『さよならダイノサウルス』は地味な謎を派手に解決してくれます。謎はおなじみのものです。つまり「恐竜はなぜ巨大だったのか? なぜ突然絶滅したのか?」。タイムマシンにのって白亜紀を訪れた古生物学者が見いだす驚くべき真相! ほんとに驚きますよ。


シンギュラリティ・スカイ
と長々とかきましたが、こういうのがSF的なわくわくだ! ってのは普段あんまり意識してないで読んでます。ちょっと前に宇宙のでてこないSFについて書いて、そういえばSFってなんだろう? ともやもや考えていたところで、この本をみつけました。

「わたしたちを楽しませてくれますか?」ある朝、新共和国の辺境惑星ロヒャルツ・ワールドに降りそそいだ携帯電話から聞こえてきた不思議な声は、住民の語る「物語」と引き換えに、3つの願いをかなえはじめた……お金、自転車、家、核融合爆弾……それがどんな願いでも。かくて惑星社会は大混乱に。

『シンギュラリティ・スカイ』の表紙裏の説明です。わくわくしませんか? これを見てすぐ買って、そしてこれがわたしの思うSF的なものなのかな? とおもいついたのでした。これからよみますよ。わくわくする本でありますように。