時間はどこで生まれるのか (集英社新書)『時間はどこで生まれるのか』(橋元淳一郎)を週末に読みました。
時間はなぜ過去から未来に流れるのか、その時間というものは実在するのか、時間はどこから生まれたのか、についての刺激的な論です。時間とはなにか? ってことを考えたことがあるひとはきっと楽しめる本です。
amazonの書評をみると、批判的なひとが半数くらいいるようですが、わたしは面白く読めました。amazonでの批判は「科学の皮をかぶった、たんなる推測に基づくメルヘン」とか「偉大な科学者がまだ語れていないことを、知識不足のくせにずうずうしくも語ってる」とか「ここで書かれてることはまったく新しくない」といった感じで、科学の書としてみたときの批判です。
たしかにこの本の主張で一番肝心な部分は、正しく科学的な手順を踏んで主張されているわけじゃありません。新書というメディアであって論文じゃないのですから当然だと思いますが。それにこの本は科学の本ではないかもしれません。哲学の本ととることもできます。
わたしは、科学の啓蒙書としてでも、哲学の本としてでもなく、現代物理学の知識を踏まえて書かれたハードSFとして読みました。 本書のクライマックス、時間の正体は実は...!! の部分を読んで私が感じた興奮は、よいハードSFを読んだときに感じるのと同じ質のものでした。ハードSF好きにもおすすめです。