最近よんだ本リスト。

『幻詩狩り』川又千秋

星雲賞日本SF大賞受賞。不覚にも読み落していた言語ネタSF。川又千秋らしい世界を楽しみました。川又千秋ってこれ以外には『火星甲殻団』と『天界の狂戦士』しか読んでないですが、川又千秋節みたいなのは明らかにありますね。どれも品切れもしくは絶版になってるみたいです。もったいないなあ

『敵は海賊・正義の眼』神林長平

わたしの愛するSF作家神林長平による、10年ぶりの「敵は海賊」。このシリーズは神林長平の著作のなかでは、かなり説明的。第1作の「海賊版」はそうでもなかったんだけど。登場人物がとにかくしゃべります。しゃべってしゃべって独白して世界を説明します。その傾向がいままでより強いような、「海賊」シリーズはこんなもんだったような。

『ナ・バ・テア』 『ダウン・ツ・ヘヴン』 (いずれも森博嗣)

先週にひきつづき、森博嗣の『スカイ・クロラ』シリーズ。じつは、第1作『スカイ・クロラ』は、シリーズ上時系列最後のはなしだったのだ! そう思うといろいろ納得。
このシリーズは、

  • 人間嫌い・飛行機好きの天才戦闘機乗りが主人公
  • 飛行機が飛び、戦う描写の詳細さが、この世界の現実感を担っている

という2点で、神林長平の『戦闘妖精・雪風』によく似ています。

『ブギーポップは笑わない 』上遠野浩平

ライトノベルです。電撃文庫です。 これ、発刊時に周囲の目利きがすごく評価してる本でした。
一気によめます、息もつかせぬ展開です、高校が舞台のライトノベル、ってのから、わたしみたいなひねくれ者が連想する「ぬるさ」は皆無です。

『バビロニア・ウェーブ』堀晃

ガチガチのハードSF。創元社のサイトから、説明を引用しましょう。

太陽系から3光日の距離に発見された、銀河面を垂直に貫く直径1200万キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束——バビロニア・ウェーブ。いつから、なぜ存在するのかはわからない。ただ、そこに反射鏡を45度角で差し入れれば人類は厖大なエネルギーを手中にできる。傍らに送電基地が建造されたが、そこでは極秘の計画が進行していた。

これだけでワクワクするじゃねぇか。
この小説でいいのは、リアリティ。このありえない設定のなかで、とにかく丁寧にリアリティが追求されています。こういう環境にこういうひとがいれば、なるほどこういう風になるんだろうな、と納得できるんです。ハードSFの手本みたいな小説。