新訳 星の王子さま
風邪をひきました。冷蔵庫の中身をかき集めてポトフを作って先日作ったパンを解凍して昼ごはんをたべ、ふとんを被って寝てます。冷凍庫にパンがいっぱいあるし、冷蔵庫にも食材いろいろあるので買い物には行かずにすむのがありがたいですよ。さっきつくったポトフで夜ご飯も間に合いそう。風邪引いて熱があろうと、食欲はあるんだな。
布団で読もうとして、次の本を枕元に積んでいます。

技術書は全くあたまにはいらんです。その上重くてふとんの中では読みにくい。そういうわけで『星の王子さま』を読んでいます。
『星の王子さま』は岩波から出ている内藤濯訳も愛読していました。著作権切れに伴いいくつか新訳が出ています。その中で一番気になっていた倉橋由美子訳をようやく購入しました。
読んでみると倉橋訳は内藤訳とは大きく文体が違います。ふたつほど例をあげましょう。
内藤濯訳:

ぼくのかいたのは、ぼうしではありません。ゾウをこなしているウワバミの絵でした。

倉橋由美子訳:

私が描いたのは帽子ではない。象を消化している大蛇の絵だった。

内藤濯訳:

夜になっていました。ぼくは、しごと道具を手放していました。カナヅチも、ボールトも、目にうつらなかったし、のどがかわいても、死ぬ思いをしても、そんなことは、どうでもよいことでした。

倉橋由美子訳:

夜になった。私は道具を投げ出した。ハンマーやボルトや喉が渇いて死にそうなことなど、もうどうでもよかった。

倉橋由美子訳、ハードボイルドです:D
わたしはどちらの翻訳もよい翻訳だと思っているので優劣の比較をするつもりはないですよ。文体がこれほど違うにもかかわらず、読んで受ける印象はほとんど変わらないように思います。
本書には倉橋由美子のあとがきがついています。倉橋由美子が『星の王子さま』をどのように読んだかがよく分かります。こういう解釈もありだな、とは思いますが、『星の王子さま』を初めて読むひとが先に「あとがき」を読んでしまうと先入観を持ってしまうかもしれません。
池澤夏樹訳も読んでみるべきだろうか。悩みます。
またひと寝入りします。おやすみなさい。